「伶士さま、ご存知でしたか?」
「…え?何を?」
本日は土曜日で、午前中だけ部活。
朝、学校へ向かう途中の車の中で、忠晴にふと問い掛けられる。
ご存知って…何?
「なずなさん、我が家に住み込んでから、夜ほとんどお休みになられておりません」
「えっ…?」
寝て…ない?
何で?
「ま、まさか…何で?」
「伶士さまの身をお守りするためだそうです」
「…え?」
「正確には伶士さまをお守りするための結界とやらを夜な夜な作っていたそうです」
「け、結界?」
「…どうやら、伶士さまの体にまとわりついている呪いの気…障気とやらは、夜になるとその強さを増して暴れるそうですよ。それが伶士さまの体調不良の原因だそうです」
「体調不良の原因?」
そういや、なずなが家に来てからは。
寝起きに感じていた頭痛や体のダルさは消えていた…。
それは、なずなが夜な夜な寝ずに作業?していたからなのか?