今の…何だ?
最後に、女性の声?
(…えっ!)
めちゃくちゃな思考から醒めて、目を開ける。
気が付くと、大量の汗が顔筋を通っている感触があり、体がひどく熱を持っていた。
体が重い。何かに乗られて…。
そして…息苦しい。
目の前には部屋の天井…ではない。
あり得ない。
あり得ないモノが目の前に覆い被さるように、そこにあった。
《ねえ…?》
妖艶に…でも、おぞましく顔が崩れて笑う、若い女性の顔。
まるで、怪物のように…!
(…うっ!)
声を出そうと思っても、喉の奥で何かが止まってしまい、声が出ない…!
その顔貌に、背筋が氷りそうなぐらいの恐怖を覚えたのに。
手足を動かそうと思っても、ピクリとも動かず、ますます焦燥にかられる。
《…行かないでね?》
目の前のおぞましい笑顔の表情が近付いてくる。
頬を指で撫でられ、気持ち悪い寒気が体に伝わる。
《…どこにだって、私と一緒じゃなきゃ嫌よ…》
(ひっ…!)
誰だ。誰だこの人。
知らない。
知らない…けど。
…知ってる。