それから、風呂に入っていても、部屋に戻って一人になっても。
その事がずっと頭から離れない。
鈴代なずなが、ノーブラだった。
…の、ことではない。
ゴリラ先輩の彼女との件。
その…兄貴と同じことをしていたという件。
あんなにも嫌悪していたのに。
兄貴や薫のこと、最低だとかまで思っていたのに。
なのに…散々被害者ヅラしといて、この有り様だ。
俺も結局、同じことを他人にしていた。
俺も…アイツらと変わらないのか?
(………)
…それは、自分への猜疑心が深まる一方で。
違う。…違う。
俺はあんなヤツらとは違うんだ。
平気で他人の心を踏みにじるようなヤツらとは違うんだ。
でも…結局は同じことしてんだろ?
何も変わりがないじゃないか。
『大事な付き合いってどんな付き合いだよ。ガキのくせに』
『これだから金持ちの世界はわかんねえ』
(やめろ…!)
全身に気持ち悪い感覚がまとわりついて、寒気すら覚える。
心臓を誰かに握り潰されているかのように胸が痛くて、熱く波打っているようだ。
吐き気…吐き気がする。
俺は…違う!