しかし、今のゴリラ先輩の大声で、人が寄ってきた。
ゴリラ先輩の背中越しに、男子生徒がこっちに向かってやってくる。
加勢?やばっ…。
「…あっ、林崎!こんなとこで何キレてんだ?!…あっ」
「あっ」
その人と目が合って、思わず声が出てしまった。
「…あれ?あれっ?た、タチバナくんだよね?あ、あのあの、サッカー部で、瞳真の幼なじみの…」
「あ、あ、あ…はい」
「俺の事、覚えてる?覚えてる?この間助けてもらった…お礼言わなきゃって思ってて!」
「え、ええ…」
何故、このタイミングで出会う?
現れた男子生徒とは…面識のある人。
先日。
鈴代なずなにボッコボコにされて体育館の裏で倒れていて、俺が保健室まで連れてった人。
瞳真くんと同じクラスの…名前なんだっけ。
「って、林崎、タチバナくんに何大声あげてんの?」
「椎名?何だよ。おまえには関係ねえし。行った行った」
「いやいやいや。おまえ怒ってたよね?タチバナくんに怒ってたの?彼、俺に優しくしてくれたから、関係ないことではないんだよ。感謝してるんだ。うん」
「はぁ?」