何をどう言えば、この人の気が済むんだろう。
どうしたら、この場は丸く収まるんだろう。
そんなことばかり考えていた。
「…あぁ?まさか、莉緒に本気になってんじゃないだろな?」
「い、いえ…」
本気?いえいえ。
あの場限りで、何が起こったかよくわからない状態だったし。
見た目も全然好みじゃない。
俺の好みは、何て言うかもうちょいモデルみたいに細くてスラッとした人で。
顔は…。
(………)
その時。
鈴代なずなのすっぴんが頭に浮かんだ。
…えぇい!やめろ。
あのすっぴんがどれだけ衝撃だったか知らんが。
でも…可愛いくて、好みだった。
…えぇい!本当にやめろ!
アイツはギャルだぞ!モデルじゃない、ギャルだ!
脳内で一人押し問答を繰り広げていると、目の前のゴリラ先輩に「おい!」と一層怒鳴られる。
「さっきから黙って考え込んでばかりいるじゃねえか!どうなんだって聞いてるんだよ!ヤッたのか?!ヤッてないのか?!」
「あ、いや…ちょっと待ってください!」
ったく、何だよ!
ヤッたとかヤッてないとか、なぜこだわる!