兄貴もめげないな。
目を付けた女は、ボッコボコにされても追いかける?ものすごい執念だ。
「おぉ、おまえら揃ってるか?」
今度は親父が登場した。
親父も身支度を終えて、これから出るといった雰囲気だ。
いつもより早い。何なんだ。
しかし、親父は不機嫌そうに俺達を見ている。
何だ。何なんだ。
だが、これから一発グッサリやられるのである。
「…おまえら、一昨日からうちに同居人が増えたのは知ってると思うが…」
そう言って、俺と兄貴を交互にジロッと見る。
え?この空気…ちょっと、怒られる系?
「…なずなは、俺にとっては大切な客人だ。断じて使用人の身分ではないことを覚えておけ」
「………」
その一言に、胸をドキッとさせられる。
や、やば…。
そして、親父は兄貴をキッと睨み付ける。
「…頼智。おまえ、昨晩酔っ払って帰ってきて、なずなの部屋に押し掛けたらしいな?…女性の部屋に!あまり恥を晒してくれるな!」
「ま、ま、待って!あんな可愛い子が家にいるとか口説かずにはいられないでしょ!不可抗力だ!」
兄貴、それ、どんな言い訳?