…しかし。
まさか、兄貴をディスる女が現れるとは思わなかった。
ペテン師とかうさん臭いとか、軽薄軟派ヤローだなんて。
それが鈴代なずなだったなんて、ギャルなアイツだったら兄貴みたいなチャラいのにホイホイと着いていく人種だと思ってたのに。
人を見た目で判断しちゃいけない。
それに…。
《おまえ、最っ低だな?》
《…その程度の束縛、私だったら愛を感じるねぇ?》
そんな風に言ってくれるヤツは、今まで俺の周りにはいなかった。
心が小さいとか、束縛してるとか否定されるばかりだったのに。
俺は俺でいい。
間違ってはいない。
そう肯定してもらえたような気がして。
…それは、何だか。
くすぐったくて、温かくなって。
ちょっと…嬉しかったかもしれない。
何だよ、アイツ。
デリカシーのない、おばちゃんくさいただのギャルだと思ってたのに。
何だか、ワケがわからないな。
つかみ所のない、ワケのわからないヤツ。
でも、こいつなら、別に良しとする…か?
用心棒。
24時間警護、嫌だったけど別にいいか。
…だなんて、単純だけど、少し思えてしまった。