その『過保護』の一言に、イラッとさせられる。

さりげなく小バカにされたような。



「…で?この可愛い女の子がボディーガードなの?…って、何のボディーガードなの?」

「私は鈴代なずな、陰陽師だ」

質問に答えるように自己紹介をして、鈴代なずなはようやく口を開いた。

しかし、普段は意味もなく偉そうな態度のギャルだが、今はすっぴんの美少女。

女好きの酔っ払いの興奮は止まらない。


「へぇー?こんな可愛い子が陰陽師?ボディーガード?…いいなぁー!伶士いいなぁー!…こんな可愛い子がボディーガードなら、俺が呪われたかった!」

「頼智さま、不謹慎ですよ。伶士さまだって苦しんでおられるのです」


忠晴が隣で兄貴に注意をするが、酔っ払いはそんなの聞いちゃいない。

目の前の美少女、鈴代なずなにまっしぐらだ。


「そんなボディーガードったって、家は安全でしょ?…ねえ、俺の部屋来ない?」

「は?」

「俺の部屋来てよ?君可愛いもん。二人でいろいろ話したい。ね?」



そう言って、兄貴は得意のスマイルを鈴代に向ける。

『学園の王子様』と呼ばれた、その完璧なイケメンフェイスの、屈託のない笑顔を。