すると、その酔っ払いがこっちにやってくる。

存在に気付かれた。



「おー!伶士起きてたのー!ただいまー!…あ」



酔いで陽気にこっちにやってきた兄貴。

だが、急に足を止めて、顔色を変える。

視線は俺ではなく…隣にいる鈴代なずなの方に向いていた。



あ…。



兄貴は女の子大好き。

毎晩のように女と飲み歩いている。

そんな兄貴の視界に、すぐに捕らえられてしまった。



「…おぉぉぉ!君、可愛いねー!伶士の彼女?…うぉっ!超美人なんだけど!」

「…あ?」



ファーストコンタクトがそれか。

いや、酔っ払いだからテンション高いのも仕方がない。

一方、急にテンション高く話し掛けられた鈴代なずなは、顔をしかめる。

不機嫌な声を漏らしていた。


「頼智さま、なずなさんは伶士さまのボディーガードです。恋人ではありません」


忠晴がすかさずそこに訂正を入れるが。

しかし、重度の酔っ払いは何を言ってもテンション高く反応する。


「ボディーガード?!…あぁ、伶士が呪いだか掛けられて悪い霊に襲われてるって件?親父も過保護だなー?ボディーガードなんて」