「伶士さまは恐らく、なずなさんがメイクを落とされた顔を見て驚いているのですよ。全然違う顔だと」
「…忠晴!」
何故、忠晴には俺の考えてることがわかるんだ?!
それに、わかってるからとはいえ、その事実をあからさまに伝えなくてもいいじゃねえか?
メイクのビフォーアフターが違うって指摘、女子にとっては…!
「全然違う顔…はぁ?…マジ?そんなこと思ってんの?!…コラァ!」
…怒るに決まってるだろうが!
忠晴からその事実を耳にしたヤツは、態度を一転。
眉間にシワをグッと寄せて、獣のような目で俺を睨み付ける。
ガルルル…と、獣のように唸りだしそうだ。
そして、噛み付かれる。
「おまえ…私の顔、バカにしてんだろ?メイク取ったら貧相な顔!しょぼい!…とか、思ってんだろ!この!」
「え?いや…」
貧相?しょぼい?…いや、そこは全然。なんだけど。
むしろそっちの方が可愛いじゃん。
なんて、こんなふざけた女相手に不覚にも思ってしまったんだけど…。