「…あ、お坊っちゃま。いたの」
「………」
だから、お坊っちゃま言うな。
…ではない!今の問題!
声、背格好、耳のピアスも紛れもなくヤツなのに…!
顔…顔がヤツじゃない!
「………」
あまりの変貌ぶりに、声が出ない。
だって…だって!
そこにいるのは、ギャルの鈴代なずなではない。
別人!
ギャルメイクを取った鈴代なずなの素顔は、目鼻立ちがくっきりとしていて、唇もふっくらと目立つ。
本当に美形の一言だ。
顔小さいし、彫りがハーフっぽい。
目…大きい!黒目デカい。
アイメイクしない方が目がデカく見えるんじゃねえのか…?
誰、この人!
そ、そして。可愛い…美人。
あまりの驚愕っぷりに固まっていると、目の前にいる別人鈴代なずなが首を傾げている。
「伶士お坊っちゃま、何突っ立ってんの」
「………」
「…あ!さっきの事、許してくださいますかぁっ?!ああぁぁありがとうございますぅっ!」
「………」
…そのすっぴんのおかげで、さっきの事はぶっ飛んでしまったわ。
許すもなんも無くなった。
何なんだ。