そう言いながら、忠晴は冷蔵庫を開ける。

「ありがと」とそれを受け取って、キッチンの忠晴の横に立って、ゼリーの蓋を開けていた。



その様子を見て、一言物申したのは、母さんだ。



「ダメよなずなさん!朝ごはんはきちんと食べないと!」

「へっ…?」

「朝抜きなんて、身体にもお肌にも悪いんですからね!…さあ、こっちにいらっしゃい!一緒に食べましょう?」

「いやいやいや、奥様。私、一応橘に仕える使用人の立場なもんで、そんな奥様方と同じ食卓ってのは…減俸対象…」

そう言って、横にいる忠晴に「ね?」と同意を求めている。

忠晴はノーリアクションだが。

減俸対象…おまえのその発言は、ギャランティを守るための発言か。


「そ、そんな使用人だなんて思ってませんよ!あなたは大切な客人です!」

「いえいえいえ。そんな構わずに。万が一ボスに知られて減俸は困るので」

「そんなこと言わずにこっちに来て食べましょう!」

「…なずなさん、減俸対象とはあくまでも『橘の者に失礼なことをした時』ですので、これは奥様が良いと言っているから良いのでは…」

「いやいやいや、忠晴さん。良いと言われても、朝からしっかりなんて食べれないし…」