…夜は、危険だ。



菩提さんにそう言われて、心してはみたもの。

結局、夜は何も起こらなかった。




「伶士さま、おはようございます」

「伶士、おはよう。…あら、今日は顔色いいわね」

「…そう?」

そういえば、今朝はそんなに怠くもなく頭痛もない。



翌朝は、いつものように忠晴が出迎えて。

母さんもダイニングで食事をしていて。



普段とは変わらない朝だった。




「おっはよーございますー」




…と、言うのは、嘘だ。




俺の背後からヌッと現れ、頭をペコリと下げている。

その姿は、制服を着ていた。



出た。出たぞ。

俺の陰陽師用心棒。

鈴代なずな…!



「あら、なずなさんおはよう!」

「おっはよーございます。奥様」



鈴代が登場すると、母さんが気持ち嬉しそうにしているのはなぜか。

そんなヤツを横目で見る。

忠晴に話し掛けているようだ。


「なずなさん、御朝食は?」

「忠晴さん、エネルギーゼリーある?パウチのやつ。朝はいつもそれだけなんだけど」

「ありますよ」