「この鬼!ブラック上司!」と、ブーブーと文句をたれる鈴代を完全無視して、菩提さんは頭を上げる。

俺への態度とは180度違う…。



「…伶士くん」

「は…はい」

「今、サッカー部は大事な大会中で、伶士くんはレギュラーで試合に出ていることは聞いています」

「え…」

「チームに穴を開けることは出来ないことも、わかっています」

誰から聞いてるんだ?

親父?それとも…。



「ですが、我々の役目は、この件によって、クライアントである伶士くんのQOLを落とさないこと」

「きゅーおーえる…」



そう呟くと、菩提さんの背後で鈴代が「生活の質!日常生活のクオリティのこと!」と叫んでいる。



日常生活のクオリティ?



「…悪霊の呪詛や奇襲によって、伶士くんが普段の日常生活を送れなくなるのを少しでも阻止する、護る。それも我々の役目です」

「そんな…」



そんなところまで…守ってくれるのか?



「…だから、伶士くんは普通に学校に通って、部活に出てください。そう出来るように、我々が全力であなたを護ります」