「どうって…」



確かに。

あの超常現象はいったい何だったのか。



少し、考える。



(………)



「…忠晴のイタズラ、でしょ?」

「私はそんな朝の忙しい時間に、そんなくだらないことは致しません」

即答された。



うーん…そしたら?

何だったんだ?

まさか、親父の言っていたことは、本当の話?




(まさか…)




「じゃあ、兄貴のイタズラか?寝てるフリして」

「頼智さまは本当に寝てらっしゃいます。午後から大学の講義があるそうなので、戻ったら起こそうと思っておりますが」

「………」

「…伶士さま。少しお考えくださいませ。旦那様もふざけてばかりいるのではないのですよ?」

「…うん」

「さあ、ご到着です」

「…あ!降りるな!降りなくていい!自分でドア開けるから!…それより、親父のフォロー頼むわ!」

「わかりました。伶士さまはお優しいですね」

「…いってきます」



カバンを肩にかけて、車から降りる。

ドアを閉めると、忠晴は礼をして車を発進させた。




(やれやれ…)



少しお考えくださいませ、か。




スマホの時計を見ると、8:28。

…やばっ!