なんとなくそのまま西に向かう。

警察署の前を避けて歩く。

警察は嫌いだ。

誰も守ってくれない。

俺を傷つけた奴だって。

俺が傷つけた奴だって。

天使幼稚園では

「おおきくなったらおまわりさんになる」「わるいやつをやっつけてやる」

って夢を抱いてたのに。

あの頃に戻れたら

もっと大切な人を守れてたのかな。

「あ」

気づいたら

俺が通ってた天使幼稚園前だった。

こんなに小さい園だったっけ。

よく遊んでいたジャングルジムがなくなっていた。

少し生意気なランコと
いちばん上まで登るのを競争しては
いつも負けて泣かされてたのに。

ランコは運動神経が良くて賢い女だった。

今頃どこかで活躍しているんだろうな。

俺のことなんか忘れて。

天使幼稚園を通り過ぎていく。

胸がくすぐったい感覚になりながら。