気が付けば、私は壁際に追い詰められていた。北上さんがゆっくりと迫ってくる。私は北上さんの肩を精一杯押すが、びくともしない。

「こういうことをしたかったんだよね?」

北上さんは口の中にキャラメルを放り込み、私に口付ける。口を舌でこじ開けられ、そこからキャラメルが侵入してきた。甘い味が口に広がっていく。

「……ッ!」

ポロポロと涙がこぼれた。ここに来てから、こうして無理やりキスを何度もされているのに、いつも泣いてしまう。嫌だ。本当に好きな人とじゃないと、何度されたって嫌だ。

この舌を、唇を、今すぐに噛みちぎってやりたい。でもそれができない。いつも北上さんが満足するまでキスを大人しくされ続けている。抵抗しない自分にも腹が立ってしょうがない。

「んっ……んっ……」

互いの吐息が部屋に響く。こんな激しいキス、監禁されて初めて知った。私の彼氏はいつだって優しく、私が嫌がったり怖がったりしないよう、何でも優しかった。もちろん、キスだって。