晴江は西門を背にして満身創痍の紗栄子と向かい合っていた。



もしも晴江が紗栄子に背を向け、全力で西門から学園の外を目指したら、きっと晴江は紗栄子を振り切り、このリベンジゲームをクリアすることができるだろう。



でも、そんな形でのゲームクリアは晴江の美学が許さなかった。



自分の圧倒的な才能を誇示して、敵を完膚なきまでに叩きのめすのが晴江の流儀だ。



そしてそれは紗栄子がバケモノと化した今も少しも変わることはなかった。



(私は周りの人間に競争で負けたことがない。

勉強もスポーツも自分がすべて勝っていた。

そんな私が、凡人を絵に描いたような紗栄子に負けるはずがない。

この私が紗栄子に背を向けて逃げるなんて、絶対にあり得ない)



晴江は青く光り輝くシャイニングサーベルを握りしめて、顎が砕かれて血を流している紗栄子の顔に目を向けた。



そして命をかけたこの戦いを前に、晴江の集中力が今までになく高まっていた。