「なぁ、辰雄。

紗栄子がどんなに強いって言ってもよ、この金属バッドで頭に全力の一撃をくらわせれば死ぬんだ。

紗栄子の体はクローン人間なんだからよ。

辰雄だってよ、頭に全力の一撃をくらって生きている人間なんて聞いたことねぇだろ?

人は必ず死ぬんだよ」



辰雄は真顔でそう言い切っくる虎治が本当は怖かった。



振り返れば、辰雄の中学生生活は、虎治に支配される日々だった。



辰雄が自分の考えを持っても、虎治に否定され、虎治の意見を押しつけられれば、自分はその意見に従わなくてはならない。



辰雄は今までにいろんな不良を見てきたが、虎治みたいに圧倒的な暴力で少しも他人に媚びることのない人を他には知らない。



辰雄は虎治と同じ中学の同級生であることを何度も嘆いた。



虎治がいる限り、自分は虎治から支配される人生を生きなくてはいけないから。



辰雄は虎治のことを心の中では憎みながらも、虎治の意見に屈服せざるを得なかった。