紗栄子の自殺のニュースが瞬く間に学園中に広まり、学園の中にはパトカーまでもが入ってきた。



そんな状況の中で、西条学園中学の生徒たちに帰宅の指示が出されたが、紗栄子が在籍していた3年2組の生徒だけは教室に集まるようにと、校内放送が流れていた。



(紗栄子が自殺するなんて思わなかった……。

紗栄子がいじめで苦しんでいたのは知っていたけど、私なんかじゃ、紗栄子を助けてあげれなかった。

紗栄子は私を恨んでいるよね。

私が弱くてズルイから……)



野村智恵はそんなことを考えると、自分が紗栄子を裏切ったことへの罪悪感で、胸が苦しくなっていた。



紗栄子と智恵は小学生のときからの友達で、互いを信頼している仲だった。



でも、クラスの中で紗栄子への強烈ないじめが始まると、智恵は自分もいじめられるのが怖くて、少しずつ紗栄子と距離を取り始めた。



智恵のそんな裏切りは、紗栄子の心を大きく傷つけたに違いない。



智恵は紗栄子へのいじめを見て見ぬフリをして、紗栄子はクラスの中で孤立してしまった。



智恵はそんな紗栄子と口を聞かず、チャットも止めてしまったが、心の中でいつも紗栄子を心配していた。