ユキはグッと親指を立てる。
警察? 逮捕!?
問題ないどころかありまくりじゃない!?
2人の標的さんたちは一体何をやらかしたんだよ!
軽いナンパだけじゃ逮捕までいかないだろうし。
ますます物騒だな。
「お手伝いしていただけますか?」
「……ま、まあ、捕まえるだけなら……」
「ちょっと待ってよ」
薫にさえぎられた。
美しく整った横顔が挑発的に歪んでる。
うお……怒った雪女みたい。
「こっちはあんたたちのこと信頼してないんだけど」
あ、見定めタイム続いてたんだ。
信頼するには時間も情報も全然足りない。
俺だって完全に信じたわけじゃない。
だけどさ、これは交換条件なんだから、警戒したままでもいいと思うんだよ。
「か、薫……」
「だったらまず、自己紹介し直そうか」
またさえぎられた。
今度はユキに。
俺にも話をさせて。
「俺の本名は、」
「甲斐田 志篤」
「……なんだ、知ってたのか」
セリフを薫に奪われ、ユキはやや目を瞠った。
え、何? さえぎるの流行ってるの??
「さすが薫さん」
「バカにしてんの?」
「別に?」
こっけいそうに喉仏を鳴らすユキに、薫は右目の下を引くつかせた。