遠方の友人も多いと言うことで、2次会はなしでお開きになった。さ、帰ろう、と思ったときに、

「田中ちゃん!・・・紗良!!」

と、今井くんが近付いてくる。

「俺ら、カップルになったと思ったんだけど?」

「あ、そっか、ごめん、今井くん」

「伸介」

「え?」

「伸介、って呼んで」

「伸介・・・くん」

「ま、それでいっか。紗良が俺の愛を受け入れてくれたのは、嘘じゃないよな」

紗良・・・自然に呼べる今井くん、さすが。

「うん。あたしも、伸介くんのこと・・・愛してる」

「やっと、言ってくれたね」

伸介くんが、微笑う。

「な、手、つないでいいかな」

「うん」

「笑うかもしれないけど、中学時代、紗良と手をつなぐのが夢だったんだ」

あたしの左手が、伸介くんの大きくて温かい右手に包まれる。

「これから、もっと、もっと、あんなことも、こんなことも、するぞ~、お~!」

「し、伸介くん、恥ずかしい」

ここは、横浜の街中だ。

「でも、キスとか・・・したい・・・なぁっ」

ちょっと拗ねる伸介くん。

「夜になったら、ビルの狭間で、とかなら、いいよ」

「ラッキー!キスOKもらいましたっ!!じゃあ、今日は、夕食まで一緒な?」

このノリは、伸介くんらしいというか、何というか。

「オッケーだよ」

そのあと、カフェに入って、今までのことを話したりした。伸介くんは、横浜にある商社に勤めているという。だから、会場が横浜だったのか。

夕食をみなとみらいのイタリアンレストランで済ませて。割り勘でいい、というのに、伸介くんはおごるの一点張りで。ありがたくご馳走になった。