今井くんが、パンパン、と手をたたいた。

「みんな、揃ったようだから、席決めね。方法は・・・男が女を口説く!じゃ、俺からね。田中ちゃ~ん、愛してるよ。俺の隣に座って」

真っ赤になるあたし。そうだ、ここには、止めてくれる先生がいない。

「返事は?・・・10年も待ったんだから、聞かせてよ」

「今井くん、恋人、とかは・・・?」

「3月に別れた・・・ちょうど、同窓会の話が来たころだったなぁ。・・・なんでか、分かんない?田中ちゃんこそ、彼氏、いるって木村が言ってたけど」

ちらり、と芽衣ちゃんの方を見た。口パクで「言っちゃえ」と言っている

「同窓会の案内が届いたときに、別れたの。多分、今井くんと同じ理由で」

「じゃあ、聞かせてよ・・・聞きたいんだ、田中ちゃんの言葉で」

「好き、でした。中3のときも。ずっと好きでした。そして今も、好きです、すごく」

今井くんが、立ち上がり、言った。

「聞いた~?田中ちゃんも、俺のこと、愛してるって。俺の想いが通じたなぁ」

「今井、紗良ちゃん、『愛してる』とは言ってない。拡大解釈しないように」

こつん、と今井くんの頭を軽くたたく、芽衣ちゃん。

「え~、『好き』=『愛してる』だろ?木村ぁ。だよなぁ、田中ちゃん」

「ん~??どうだろう」

と言葉を濁すあたし。そして、気になっていたことを聞いてみる。

「あたし、今井くんは芽衣ちゃんや雪乃ちゃんが好きなんだと思ってた。あたしのことは、からかってるだけだと」

「え~?え~?え~?うちら、単なる友達だよ!」

と言う芽衣ちゃんと雪乃ちゃん。

「そんなこと思って、返事くれなかったのか?」

と今井くん。

「それに、2人のときは、何にも言わないし」

「それは、照れくさかったから」

芽衣ちゃんが、ため息をつく。

「それじゃあ、伝わらないよ、今井ぃ。普通、逆でしょ?」

「みんなの前だと、心強かったんだ」

「まぁ、めでたく、カップル誕生、というわけで」

と雪乃ちゃん。

そのあと、みんなで、現状報告とおしゃべりをして・・・あっという間に2時間が経った。