あたし、田中 紗良は、引っ込み思案なほうだと思う。友達も少ないし、中学3年だけど、今まで男子の友達なんて出来たことがない。彼氏なんて、もってのほかだ。
こんなあたしに、なぜか執着してくる男子が1人いる。学級委員の今井 伸介だ。
今日も、ホームルームの時間に、あたしに、からんで?きた。
「今日は、席替えだけど・・・こんなのはどうかな?男が女を口説く!田中ちゃ~ん!!愛してるよ!僕の隣に座って~!」
真っ赤になるあたし。
すかさず、担任の塚田 文子先生がとがめる。
「そんなのはダメです。今回も、くじ引きです」
「ちぇ~っ。愛の女神さまが、田中ちゃんと隣同士にしてくれますように」
もちろんそんなことはなく、今井くんとあたしの席は見事に遠く離れた。
(ちょっと残念・・・)
「紗良、今井くんの隣になりたかったんじゃないの?」
親友の酒井 美香がからかうように言う。
「そ、そんなことないよ。ハッキリ言って、迷惑」
そんなこと、全然ないんだけどね。ず~っと、愛してる、だの、好き、だの言われていたら、こっちだってその気になってくる。
今井くんは、いつもそんな感じで、みんなの周りで堂々と、気持ちをぶつけてくる。
でも、周りに誰もいないときは、今井くんはあっさりするくらいクールなのだ。
だから、多分、からかっているだけだと。そうに違いない。
本気にとって、告白なんかして、失恋するだけは避けたい。
そして…いよいよ明日が卒業式、という日。
どき、どき・・・もしかして、今日こそ、2人っきりになる?
・・・と思ったら、人気者の今井くんは友達に囲まれ、女の子たちに第2ボタンどころか、全部ボタンを奪われ、ひとことも話すことができなかった。
あたしは、今井くんを横目に見ながら、結局、声をかけることも出来ず、下校したのだった。
あたしは、部屋に入って泣いた。今井くんの気持ちを確かめる機会はいくらでもあったのに、それをしなかったのは自分だ。悔やんでも悔やみきれない。
でも、きっと、きまぐれだったのよ・・・と無理に自分を納得させて、涙を拭いた。
2020年の今になって思う。あたしは、プライドに凝り固まったハリネズミだったんだ。こんなあたしに、告白してくれる人がいなかったのは当然だ。今井くんの気持ちが本当だったとしても、だ。
こんなあたしに、なぜか執着してくる男子が1人いる。学級委員の今井 伸介だ。
今日も、ホームルームの時間に、あたしに、からんで?きた。
「今日は、席替えだけど・・・こんなのはどうかな?男が女を口説く!田中ちゃ~ん!!愛してるよ!僕の隣に座って~!」
真っ赤になるあたし。
すかさず、担任の塚田 文子先生がとがめる。
「そんなのはダメです。今回も、くじ引きです」
「ちぇ~っ。愛の女神さまが、田中ちゃんと隣同士にしてくれますように」
もちろんそんなことはなく、今井くんとあたしの席は見事に遠く離れた。
(ちょっと残念・・・)
「紗良、今井くんの隣になりたかったんじゃないの?」
親友の酒井 美香がからかうように言う。
「そ、そんなことないよ。ハッキリ言って、迷惑」
そんなこと、全然ないんだけどね。ず~っと、愛してる、だの、好き、だの言われていたら、こっちだってその気になってくる。
今井くんは、いつもそんな感じで、みんなの周りで堂々と、気持ちをぶつけてくる。
でも、周りに誰もいないときは、今井くんはあっさりするくらいクールなのだ。
だから、多分、からかっているだけだと。そうに違いない。
本気にとって、告白なんかして、失恋するだけは避けたい。
そして…いよいよ明日が卒業式、という日。
どき、どき・・・もしかして、今日こそ、2人っきりになる?
・・・と思ったら、人気者の今井くんは友達に囲まれ、女の子たちに第2ボタンどころか、全部ボタンを奪われ、ひとことも話すことができなかった。
あたしは、今井くんを横目に見ながら、結局、声をかけることも出来ず、下校したのだった。
あたしは、部屋に入って泣いた。今井くんの気持ちを確かめる機会はいくらでもあったのに、それをしなかったのは自分だ。悔やんでも悔やみきれない。
でも、きっと、きまぐれだったのよ・・・と無理に自分を納得させて、涙を拭いた。
2020年の今になって思う。あたしは、プライドに凝り固まったハリネズミだったんだ。こんなあたしに、告白してくれる人がいなかったのは当然だ。今井くんの気持ちが本当だったとしても、だ。