あたしは、また頬に手を当てて、下を向いた。
「あっ…!! ホームラン…」
奈美が声を漏らした。
うそ…。優也が…。
「いけー!!! 走れー!」
「いいぞー!! 高梨優也ーーー!!!」
周りの人が、口々に大声で叫んでいる。
あたしが顔を上げて、テニスコートの方を見ていると、優也の打った球が、空の太陽で見えにくくなり、その後、小さな音をたてて地面に落ちた。
あたしは立ち上がった。
そして、奈美と抱き合い、優也の名前を呼んだ。
「『優也ぁー!! 最高ーーー!!』」
すごい!!すごいすごい!あたしは、アイドルのコンサートに来たくらいに興奮し、叫びまくった。
おかげで、喉は少し痛い…けど。
今まで、一点負けていたけれど、優也のおかげで逆転。
そして無事、春哉達のチームは勝った。