あっ!
奈美に言わないと…

『奈美…実は、』
「ん?」
『あたし、この前颯馬にコクられて……付き合っちゃったんだ……。好きでもないのに付き合うなんて最低だよね…。』

うつむいて話していたあたしが顔を上げると、涙を目に溜めて、悲しげな表情をした奈美がいた。

『っ!…ごめん。春哉の事とか応援してくれてたのに…。幻滅したよね…?』

ごめんね、奈美…。
ごめんなさい。

「違うの…。あたし…颯馬の事が…


好きなの…。」

ドクンッ…。
心臓が激しく動いた。

『う…そ。』
「嘘…なわけないじゃん。」


あたし…奈美に酷い事をしてしまった。

奈美を傷付けてしまった。
あたしが…逃げてばっかりだから…。

『奈美…ごめん…ごめん…。』

そのうち、あたしにも涙が溢れてきた。