ミーン ミンミンミンミン…
『ふぁー…暑い…。』
あたしはパジャマを脱ぎながら、顔を歪めた。
6月。
溶けるような暑さ。
苛立ちを生む蝉の声。
プールに入りたくなるような季節になった。
春哉とは、1日に1回話すくらいの関係でとまっていた。
はぁ…。
溜め息の多いあたしに時間は遠慮なしに過ぎていく。
あの頃みたい────…
「優おはよぉ」
『奈美おはよぉー』
この頃、授業になると考えてしまう───…
あの頃に戻りたいって───…
そんな事思っても意味ないのに。
そんな事思っても春哉は振り向いてくれないのに───…
あたしは弱いから…。
あたしは弱虫だから。