あたしには、それしか言えなかった。春哉のために差し入れを作った…と言ってしまうと、何かが崩れそうだったから。
春哉が、友達として、嬉しく受け取ってくれればいいけど…。
けど…もし、その言葉で春哉があたしの気持ちに気付いてしまえば…二人の親友としての絆も、今までの思い出も、これからの日常も壊れてしまいそうで、こわかった。
壊したくなかった。壊れてしまうと、もう、今までみたいに話せなくなったり、目が合っても、お互いに優しく笑い合えなくなるでしょ?
だから、言わなかった。
…言えなかったの。
自分が弱い。
今までと同じ───…
結局、その日は皆でお弁当を食べてすぐに帰った。
『はぁー…』
思わず溜め息がこぼれる。考えていることは一つ…。今日の春哉のあの反応。
あの顔は、気付いてるのかな?
気付かれていたら、それでいい。本当の事だし!
でも…気まずくなったら…。
うーん…。
どうしよう。
どうしよう…。
どうし…。
よ…。
あたしはいつの間にか、ベッドで寝ていた。