「普通、蜂蜜じゃね?」
『だって、蜂蜜家に無かったし…酢でいいかなって。」
「優、まだ料理苦手だったんだ…。 あたしが教えてあげよっか!」

あぁ…。
せっかく春哉に差し出し持っていって…女の子らしいところを見せようとしたのに…。
これじゃあ、ダメなところを見せちゃったじゃん。

「お前さ、これ誰のために作ったの?」
いきなり、春哉が変な事を言った。
そんなの聞かれても、何て答えればいいの?
春哉のため…だけど。
どうしよう…。
『えっと…。』
「俺のため?」
うん!! って言いたいけど…そんなの言ったら気付かれちゃうかな…?
『…うん。』

言ってしまった…!言っちゃったよ。どうしよう…。春哉、何て言うかな。何て思うかな…?
もしかして“好き”って分かったかな…?

おそるおそる春哉の顔を見ると、真顔だった。
真顔が一番困るよ。
嫌…だったかな。
あたしの頭の中ではハテナマークが何個もぐるぐると回っていた。


奈美と優也は二人で何やら盛り上がっているけれど、あたし達二人は、下を向いて黙っていた。
何?この空気…。耐えらんないよ。
『うん。 ていうか、春哉と優也のため? …かな。』

…意気地なし。