「嘘……。菊……!」

エルサはすぐに菊にメールを送る。時差など今は気にしていられない。ただ、菊が生きているのかを知りたかった。テレビでは、亡くなった人の数や行方不明の人の数が読み上げられている。

『菊、大丈夫なの?』

『寒くない?』

『お腹は空いてない?』

『怪我をしているの?』

『ねえ、返事を返して!』

何時間もエルサは菊にメールを送った。しかし、その返信が返ってくることはなかった。

そして、地震から二ヶ月ほどが経った頃、エルサとルイーザのもとに、菊の母から菊の死を知らせる連絡が届いたのだ。



菊が亡くなってからもう二年が経つ。それでも、エルサは現実を受け止めきれずにいた。だからこそ、いつも過去の夢にうなされている。

パジャマから白いシャツブラウスとジーンズに着替え、リビングへと向かう。そこにはコーヒーの用意をしているルイーザがいた。テーブルの上には、簡単な朝ご飯の用意がされている。