フィンランドに帰ってからも、エルサはルイーザと菊とメールなどでやり取りしていた。些細な出来事をお互い送り合い、ささやかな幸せに満ちていた。

「いつフィンランドに二人は来てくれるんだろう……」

フィンランドで案内したいところ、食べさせたいスイーツや料理はたくさんある。二人がいつ来てもいいように、エルサは計画をわくわくしながら立てていた。

エルサがフィンランドに帰って三年が経ったある日、のんびり音楽を聴いていたエルサのもとに電話がかかってくる。ルイーザからだった。

「ルイーザ、どうしたの?」

のん気に答えるエルサに対し、ルイーザの声はショックで震えていた。

「今すぐ……今すぐテレビをつけて!!」

エルサは何だろうとテレビをつける。そして、「えっ……」と呟くことしかできなかった。目の前の画面に映し出されていることが、映画のワンシーンであってほしかった。

目の前の画面に映っているのは、瓦礫の山と街を飲み込んでいく津波。菊の住んでいる街で巨大な地震があったことをニュースキャスターが伝えていた。