透き通るような瞳がじっと、こちらを見る。
本当に真っ直ぐで、このまま吸い込まれてしまいそう、と錯覚してしまうほど。





あんな目で、あんなこと言われたら、遙人が冗談で言ったわけでは無いのはわかっている。けれど、先輩からも同級生からも人気者で、常に周りに人が集まっているような人が私を好きだなんて信じられないのも本当で。



自信なんか全然ない。
他の、遙人を好きな女の子たちと張り合えるほど可愛いわけでもないし、何より遙人の隣に堂々と並べるかって言われても、正直釣り合わないんじゃないかなって気持ちが勝ってしまう。
でもね、ここまで来て、もう逃げたいだなんて思わないよ。


遙人の気持ちに応えたい。
その気持ちだけは本物。
体全身がそう言っているような気がする。
私だって好きだから。ほかの子に取られたくない。負けたくない。
ちゃんと言わなければ。声が震えても、上手く言えなくても、伝えたい。
そう思ったら、さっきまで悩んでいたことかちっぽけに思えてきて。









言葉にしたいと思えた。
私も、あなたへの想いを止めることはもうできそうにないのだから。

















「私も……遙人のことがすきだよ」








なんとか口に出せたのに、
しばらくしても何も返事が無い。
何も応えない遙人に耐えきれず、俯き続けていた顔をようやく上げると、
あなたの嬉しそうな顔があって、私まで嬉しくなった。



遙人の笑顔かわいいかも、なんて暢気に思っていたら、遙人が口を開いた。











「ねえ先輩、もっかいキスしていい?」



あなたの言葉はいつも突然な気がする。

突発的すぎる話の切り替えとその内容に、反応に困るほど動揺が隠せない。





「え?!……えと……」








「…ダメですか?」





「っ……いい…よ…」









ダメですか、なんて言われたら断れないに決まってる。たぶん今の私は顔が真っ赤なんだろうなと思うと、一層恥ずかしかった。











また遙人の顔が近づく。それと同時に自然に瞼を閉じた。







さっきと同じだったけれど、さっきよりもずっと優しくて甘いキスだった。