街からは私の家よりタカシの家の方が近い

だから、「じゃあね〜」とか出来ないわけで…私には逃げ場がない事になる…


タカシの家は母屋と、隣に車庫があって、その上に改造されたタカシの部屋がある

私達は車庫に自転車を置いて階段を上がった

階段の上にはビールの空き缶やカクテルの空き缶がゴミ袋に敷き詰められて、何個も並んで置いてある

「…何、これ…」

「悪い!火曜に捨てる予定で…」

タカシの部屋は友人達の恰好のたまり場なワケで…いつも飲んでるらしい…

はあ…とため息をまたついて部屋に入る

部屋は廊下と違って綺麗にしてあった

私はいつもの場所に座り、部屋を見回す

「こっちはちゃんと片付けてるね」

「この前掃除したんだよ。ホラ」

冷蔵庫から、梅酒のカクテル缶を渡された

「だから、飲めないっつーの!」

「いいじゃん、付き合えよたまには…」

私はアルコールを分解できない身体なのだ…

つまり、めちゃくちゃ弱い…

タカシが向かいに座って、梅酒をグイグイ飲み始める

私は仕方なく缶のプルタブを引いて、ちょびちょびと口を付けた