「ムカつくよね、持っていかれたみたいで。今まで俺の話ばっかだったのに」

「そ、そんなの八神くん関係ないじゃない!」

「関係ある。だから八神くんの物を落として犯人に仕立て上げて上手くいってたのに……全部小早川さんのせいだ。小早川さんさえいなければバレなくて済んだし、八神くんがモテることなんかなかった」


「いい加減にしろ!」


八神くんが私の前に立った。

まるで私を守るように。



「莉子を否定すんじゃねぇよ。俺にとって莉子は必要な存在だ」

「それはそうだよね。小早川さんがいなかったら八神くんモテててなかったかもしれないからね」


その言葉に八神くんは、佐々木くんの胸ぐらを掴んだ。


「モテようがモテまいが、俺は莉子しか好きにならねぇ」

「ハハッベタ惚れじゃないか。最強と呼ばれた男が。これは何がなんでも小早川さんを奪わなきゃな」


八神くんは掴んでいる手に力を入れたみたいで、佐々木くんはウッと唸っていた。