翌朝、看護師さんが森田さんの荷物をまとめに来た。
『大丈夫だよね…』でも怖くて聞けなかった。

誰も居なくなった空のベッドを眺めていると突然声がかかった。

「原田さん」
「川本先生…」
「今、時間大丈夫?」
「は、はい」

「森田さん、説得してくれたんだってね」
「説得だなんて…逆です。酷いこと言っちゃった」
「そうなの?でも感謝してたよ。会いたいんだって原田さんに。だからもし時間あるなら会ってあげて」

「私に?」
「うん。昨日の晩には意識戻ってたんだけどね安静が必要だったから」
「手術したんですか?」

「うん。原田先生が判断してくれた。僕がもっと早く判断していれば森田さんは苦しまなくて済んだかもしれないのにね。まだまだ先生の足元にも及ばない。…ごめん話が逸れたね。301号にいるから会ってあげて」

それだけ言うと川本先生は帰っていった。