そういえば、


「笑った顔はじめてみた」

「そう?」

「うん。咲にはたまに笑いかけてたけど」


俺たちに対しては全くなかったな、なんて今更ながら気になった。きっと葵にとってみれば俺も同じくらい笑ってなかっただろうけど。


「そういえば颯、言いたくなかったら別にいいんだけど」

「なに?」

「咲とは普通に話せるんだよね?なのに咲の目が時々怖いのはなんで?」


咲...咲ねぇ。


「あー実は咲が最初に倉庫に来た日、俺あいつに怒られたんだよね」

「怒られた?」

「そう。自己紹介の時、愛想悪い上に目も合わせなかったら『話すときに相手見る
のは常識でしょ』って。そりゃあ真っ黒な笑顔だったよ」

「...ああなるほど。咲って普段温厚な分キレると怖いんだよね」

「そうそう!まあそれで未だに注意されることがあるんだよ。最近は減ったけど、たぶん葵と全然喋んなかったの怒ってるんだと思う」

「そっか。ふふっ。でもよかった。咲とみんなが仲良しでいてくれて」

「それってどういう「おい葵、颯!メシ食いに行くぞ!...って、はあ⁈」」