颯side

葵をシャワールームに案内し、幹部室に戻ってきてから俺はぼーっと天井を眺めていた。さっき葵に言った言葉に嘘なんてない。

この一週間、葵は無闇に俺に近づいてこなかった。かといって突き放したりもしなかった。あくまで自然な距離を保ち続けた。俺はいつの間にかそれを当たり前だと思っていたんだ。

葵がそばにいることが。

だから葵が「ここに来るのをやめる」って言ったとき、気が付いたら引き止めてた。

てかよく考えたら俺めっちゃ恥ずかしいことしてね?最後思いっきり抱きついちゃったし。


「うわぁ///」

「颯?」

「っはい!」


呼ばれた方を見ると葵が立っていた。


「シャワーと着替えありがとう」

「ああ。俺のなんだけどサイズとか大丈夫そう?」

「うん。ちょっと大きいけど、袖折ったらなんとか」


そう言ってニコッと笑ってくれる。