「あ、翔真っ!!」
女子は一時間早く練習が切り上げられるも、試合へのワクワク感からかまだまだスタミナが有り余る未茉は男バスのコートで息を切らし、給水タイムの翔真を呼んだ。

「ん。お疲れ。」
「ねぇ1on1しよーよ!」
「え・・」
「やろっ!ね!」
未茉に笑顔で言われると弱い翔真は疲れた体を引っ張られ女バスコートに強制的に連行されてく姿を見て、
「あーあ…可哀想に」
それを見た三上はひきつるが、
「おう湊ゆっくり休んでこい!」
と散々点を決められた二三年達は笑いながら見送った。


「いい?勝負ね!」
「ん。俺の少ない給水タイムだってこと忘れちゃダメだよ。」
「あははは!もちろん。」

……ダム…ダム
未茉は翔真を挑発するようにドリブルする。

さっきまでのヘラっとした二人の顔つきが180度変わる。
「ーー!」
男バス部員もまだ残っていた女子部員もそのピリッとした空気に目を奪われる。

キュッ……足を少しずつ後ろへと重心をかけて視線を落とす。
未茉がリズムを狂わすステップを踏み込むと、翔真の判断が遅れた一瞬の隙をつきシュートを打つ。

「うわっ……すげー綺麗……!」
「つーかあんなでけぇ翔真を前によく簡単にシュート打つよ」

騒ぐギャラリーをよそに、その鮮やかなシュートをバシッ!!!とブロックされボールを奪われる。

「クソッ……!」
未茉はすぐさま翔真にディフェンスでつくと、デカイ体でゴールに突っ込んでくればいいものの、さっきとは逆で挑発するようにあえてドリブルで仕掛けてくる。

ダムダムダム……
(止めてやるぜ。翔真…!)

ーーバシッ!!と見事見破った未茉は体ごとその大きな体に寄せるようにボールに向かいカットした。