「これって、わたしのこと、なんだよね?」

天使くんがこの世界に存在したことを覚えているのはわたしだけみたいだ。

そして天使くんはあえてこの手紙に名前をひとつも残さなかった。

でも、なんとなくわかったんだと思う。


「ちがうよ」

でも、わたしはそう答える。

わたしにとって大切な人はほかにもいるし、必ずしもこの文章=天使くんの身代わりが雫とは限らない。


「でも、わたしのところに手紙が・・」

「それは、きっとわたしに渡すのが恥ずかしくて、わざと仲がいい雫に託しただと思う」

「そっか」

雫はきっと納得していない。

でも、何かを察してくれた様子だった。


雫には、なにも負い目を感じてほしくない。

だって、実際雫が生きている世界を望んだのはわたしだから。