「邪魔ってなに?人の命がひとつ消えようとしているのをとめることは、邪魔になるの?」

「それはっ」


でもそういって言葉をつまらせたあやめをみたときわかったんだ。

この子はきっと優しい子なんだって。

優しいからこそ、悩み苦しむことがあるのだろうと。


泣いてしまった彼女を抱きしめたかったけれど、そんなことはできずに頭を撫でた。


「よしよし。つらかったね」


特別大きな理由はないけれど、でも死にたいと思ってしまう感情が人にはあるということをそのとき知った。