* 「鴻上!」 名前を呼ばれて振り返るとそこにはわたしがあの日、ちょっとだけ思い出したあの人が立っていた。 「高坂先輩」 雫のひとつ上のお兄ちゃん。 この学校に通っていた元生徒会長であり、元テニス部のキャプテンだった先輩は、みんなの憧れの的だった。 わたしは雫と仲がいいからそのおかげで話せる、特権みたいなもの。 そんな先輩にひそかに思いをよせてるわたしだけれど、それは雫ももちろん先輩も知らない。