「ねえ、話しかけにいってみようよ!」

「え???」


まさか雫からそんな提案がくるとは思わなかった。

でも、一人で話しかけるのは勇気がいるけど、雫となら怖くない。


「だめ?」

「いいよ」


相変わらずずっとこっちをみている天使くんはわたしたちが立ったのをみて少しだけ視線を外した。

でもわたしたちが向かっているのが自分のほうだとわかったとき目をぱちぱちさせて驚いたような顔をした。


「山田くん、はじめまして。高坂雫です」

「あ・・あ、うん。はじめまして。山田、太郎です」


明らかに動揺している姿は天使というより小動物のようだ。


「ほら、あやめも」

「あ、うん。鴻上あやめです」


知ってるんだけどな、と思いつつ挨拶。


というか、未来からきたならたぶん雫のことも知ってるんだろうけど。