「あのっ！私が脳外科の中村先生を呼んできます！」

私はすぐに近くにいた看護師に言いました。こんな現場を見た以上、何もしないわけにはいきません。「お願いします！」と看護師に言われ、私はすぐ先生を呼びに走ります。

「痛いよぉ〜……。怖いぃぃぃぃ！」

小学生の子の泣き叫ぶ声が耳に届きました。振り返ると、園田先生が小学生の子の手を握っていました。その表情はとても力強い笑顔です。

「もう大丈夫！これから、痛いのも全部なくなるからね！」

その笑顔に、小学生の子は少しずつ落ち着きを取り戻していったようです。私はその笑顔に見とれてしまいました。命を救えるお医者さんは、やはり偉大な存在です。

園田先生が顔を上げた時、私と目が合いました。そして、口をパクパクと動かします。

『か、な、ら、ず、た、す、け、る』

はい！と私も頷き、脳外科の先生を呼びに走ったのです。



脳外科の先生を呼んだ後は、私は看護補助員としての仕事に戻りました。幸い、私の周りでは大きな変化はなく、今日も平和に仕事が終わりました。

「お疲れ様です」

先輩方に声をかけ、私が病院を出ると「待ってた」と笑顔で園田先生が話しかけてきました。