普通にボディタッチをしたり、デートに誘ったりするのにセクハラと言われないのは、園田先生がイケメンと呼ばれる人たちに属しているからでしょう。この病院のアイドル的存在ですし……。

ああ、余計なことを考えている場合ではありませんでした。仕事、仕事!

「林さん、検査に行きましょう」

私は病室のドアを開け、笑顔で患者さんに話しかけます。仕事は、始まったばかりです。



患者さんの検査に付き添った後は、ベッドのシーツを交換したり、オムツを交換したりします。気が付けばもうお昼です。

「八重、一緒にお昼を食べよう!」

持ってきたお弁当を看護補助員の同僚と食べようとしていると、園田先生がやって来ました。その手にはお弁当が……。

「食べてあげなよ〜」

私が断る前に、同僚はニヤニヤしながら去っていきます。同僚をはじめ、この病院の多くの人が園田先生の味方をしているようです。私は仕方なく、園田先生とお昼を食べることにしました。