信号待ちをしているとき、隣を見ると、相川くんはスマホを見ていた。

スマホを見ているだけで様になっていますよ…。

なんかもう幸せでドキドキしてる。

「家、どこ」

ふいに話しかけられてビクッとしてしまう。

「え、っ?」

「送ってく、から」


___きゅん


無理って言われ続けても好きなのは、たまに出る優しさのせいかも。


「えっ、と、そこの角曲がって真っ直ぐ行ったとこだよ」

「ん、わかった」

頬が緩みっぱなしだよっっ

「なにそんなニヤニヤしてんの、きもち悪い」

「だって相川くんが送ってくとか言うから!!嬉しすぎるよっ!!やっぱ好き!!…って歩くの速くしないでっ!!」

相川くんに追いつき、息を整えていると。

「ふ、ばかじゃねぇの」

「相川くんには言われたくないし……っ!!」

顔を上げると、相川くんが笑っていた。

意地悪な笑みじゃなく、純粋な笑み。

「……やっぱ好きだなぁ」

聞こえるか聞こえないかぐらいの小さい声で言った。きっと聞こえてないだろう。

「着いたけど」

「あ、ほんとだ。ありがとう相川くん。」

「うん、」

来た道を戻っていく相川くん。

少し名残惜しいな、と思いながらも家のドアを開け、中に入った。