全部の授業が終わり、部活に向かう人達で教室はざわざわしていた。

私は帰宅部だから帰るだけなんだけど。

「せーちゃん!!今日バイト??」

「うん!ごめんね、一緒に帰れなくて…」

申し訳なさそうにするせーちゃん。そんな申し訳なさそうにしなくてもいいのに…!!

「んーん!大丈夫だよ、頑張ってね!!」

「もー!!ありがとう愛菜!!」

せーちゃんは私をぎゅっと抱きしめ、バイトに行った。

ふと隣を見ると、ぐっすり寝ている相川くん。

「相川くーん?もうみんな部活とか行っちゃったよ?………うわ髪の毛さらさらなんだけど、」

相川くんの頭を撫で、うっとりしていると、もうひとつ気づいてしまった。

「待って、まつげ長すぎない?女子ですか?」

女装したら似合うよきっと!!

相川くんの頭を撫でながら顔をじろじろ見ていると。

「………何してんの」

「えっ…と…、手が勝手に…?」

やばい、心臓ばっくばくで汗だらだら。

「ふーん、帰んないの?」

「帰ります、よ?」

声が裏返ってしまう。恥ずかしい。

「…一緒に帰る?」

「え、!?」

「帰るの、帰らないの、どっち」

「で、でも、」

「はぁ…、俺もう帰るわ」

ガタッと音を立てて立ち上がる相川くん。

「ま、まって、」

ここで相川くんが帰ったら後悔する、絶対。

「…なに?」

「一緒に、帰りたい、です…」

なんだか恥ずかしくなって語尾が小さくなってしまった。

「ん、よくできました。」

「…え、」

相川くんの顔に意地悪な笑みが浮かんでいた。

「ちょ、ちょっと!」

かぁぁぁっと顔が赤くなるのが分かった。

「帰るよ、愛菜。」

「な、名前…!!」

「暗くなるから、早くして」

多分、いや絶対、今の私の顔は頬が緩んでる。

「うんっ!」