一階に降りると、七海は会社内にあるコンビニに寄った。


私も一緒について行ったけれど、
特に買うものもなかったのでガムだけ買って七海と一緒にコンビニを出た。


「この後、何か予定あるの?」


「えっ?ああ、あの、今日は親が来るから、
 一緒に食事をする……かな」


なんだか葛城さんと会うことを見透かされているような気がして
しどろもどろになる。


咄嗟の嘘で誤魔化して七海を見ると、
七海は大きな目をパチパチさせていた。


「あらそう?せっかくだから
 夕ご飯でも食べようと思ったんだけど」


「ご、ごめんね。また今度誘って」


「ねぇ、ちょっとだけいい?」


七海は急に声のトーンを暗くして言った。
本当は早く帰って葛城さんを迎える準備をしたかったけれど、ゆっくりと頷いた。


「あのね、最近裕也の様子がおかしいの。
 絶対誰かと浮気してると思うんだけど、奏音何か知らない?」


七海が不倫を疑っている。


誰かまでは分からないみたいだからとりあえずホッとしたけれど、
危険信号が出ていることには変わらない。


葛城さん、どうしよう。