「美奈ちゃんは俺の大学の同期だよ。
　彼女に告白されたことは学生時代に何回かあるけど、俺にその気はない。
　だから安心して」


「えっ、べ、別にそういう意味じゃ……」


「嫉妬でしょ？分かりやすいなぁ、一ノ瀬さんは」


これは、嫉妬なの？でもなんで？
私はまだ神崎さんのことをそんなに好きじゃないはずなのに。
心はまだ、葛城さんのもとにあると思うのに。


美奈さんは素敵な人だと思うけれど、
神崎さんと何かあったら嫌だなと、ただそう思った。


もしかして二人は以前お付き合いしていたんじゃないかって思ったら
モヤモヤしたし、今もモヤモヤが晴れたわけではない。


美奈さんの方には想いがあるんだもの。
もしかしたら今もその想いは残っているのかもしれない。
そう思ったら気分が沈んでいた。


それが自分で不思議に思っていた。


「嫉妬、なんでしょうか……」


「うん。俺に興味持ってくれたってとこかな。
　でも安心して。今では美奈ちゃんも俺のことは諦めているから」


「そう、でしょうか……」


私はなんだか、まだ美奈さんが神崎さんを好きなんじゃないかと思って
ならないのだけれど。


彼が言うのだから違うのかな。


それにしても、他の人を想っておきながら、
一丁前に嫉妬だなんて、浅ましいにもほどがある。


私って本当にダメな女……。