ぽかんと口を開ける。
何を言っているのか分からなかった。


ええと、今なんて?
頭に入ってこなかったけれど、
今この人は「俺と付き合えばいい」って言った?


それはどういう意味で?
まさか、言葉のまんまの意味ってこと?


えっ?何?何で?どういうこと?


「なっ、何を言って……」


「男を忘れるには男が一番効果的だ。
 決めつけて悪いけど、君みたいな純情な女の子には
 その適任の異性がいないだろうから、俺でどうかなって」


「そ、そんな……だって私たち、今日会ったばかりで……
 それに、私じゃ神崎さんには釣り合わないですよ」


「そんなことないけどな。君は十分可愛いし。
 俺も次に恋愛するなら君みたいな子がいいんだよね」


私みたいなって、どんなだろう。
なんだか神崎さんは冗談で言っているようには見えない。
本気で言ってるんだろうか。


「でも私は、彼のことがまだ好きで……」


「だから、忘れるために付き合うんだよ。
 リハビリみたいなものだって。
 それとも、俺のことはそういう対象には見れない?」


「そ、んなこと……ないですけど……」


そんなことない。
だって神崎さんは葛城さん並みにかっこいいと思う。


高身長だし、顔は整っているし、仕事も出来そうだし、
全て完璧な男の人に見える。
そんな人が対象外なわけない。


でも、そういうことじゃなくて、これは私の問題で……。