前世の記憶によると、エリーゼは数日前、王都の郊外で夜盗に襲われそうになったスチュアートを助けた。

 不幸が続き、住む場所を失くしていたエリーゼを、スチュアートは礼として城に住まわせることにしたのだ。

 今しがた向かった庭園でスチュアートはエリーゼへの恋心に目覚め、さまざまなイベントを経て、やがてふたりは結ばれる。いわゆる、王道のシンデレラストーリーだ。

 そしてアンジェリ―ナは、ふたりの恋仲を邪魔する、憎き悪役令嬢だった。

 このままいけば、アンジェリーナは最終的には断崖絶壁に建つ“悪魔の塔”に幽閉されてしまう。選択ルートにより、ふたりの親密度は異なってくるが、スチュアートとエリーゼが結ばれないシナリオは存在しない。

 アンジェリ―ナのお先真っ暗な未来は、決まったも同然だった。